具体的な支援方法、対応例

面会・面談時や受け入れ後の日常会話

一般社団法人 PORO 堀 清和

どんな質問にも「はい」や「うん」で答える、何を聞いても頭を縦に振る(うなずく)

本心や事実とは関係なく、どんな質問をしても「はい」や「うん」で答える人がいます。

内容を理解できていないけれども、こんな簡単なこともわからないのかと思われるのが嫌でこのような反応をすることもあれば、虐待を受けるなどして口答えできない環境で育ってきたため、相手のいうことを肯定する癖がついている場合もあります。

また、考えるのが面倒なので、相手の言っていることを全部肯定して早くその場を切り上げたいという気持ちから、このような反応をすることもあります。

中には、実際に起こった事実とは異なることを自供して自分から冤罪を招いてしまう深刻なケースがあります。

質問には、「はい/いいえ」で答えられる聞き方と、「はい/いいえ」で答えられない聞き方があります。聞き方を使い分けることで本当に言いたいことを引き出しやすくなります。

6人家族(兄妹、父母、祖父母)の画像と、家の画像

クローズドクエスチョン

(はい・いいえで答えられる質問、考えるのが苦手な人でも答えやすい)

(例)家族と一緒に暮らしたい?

(例)働きたい?

オープンクエスチョン

(自分の考えた言葉で答える必要のある質問)

(例)どの地域に住みたいですか?

(例)どんな仕事がしたいですか?

(例)これからどんな暮らしがしたいですか?

聞かれたことをそのまま繰り返す/聞かれたことの一部を繰り返す

これは言われたことをオウム返しする特性(エコラリア)のある人に見られる傾向で、重要な局面でも聞かれたことをそのまま(または一部を)繰り返すことがあります。

交通事故に遭って骨折していても「大丈夫」と答えることや、冤罪でやってもいないのに「やった」と答える場合があるので注意が必要です。

会話しているが、内容がわからない人の画像と、怪我をしているのに大丈夫と言ってしまう人の画像

(例)質問者「(事故の被害者に)大丈夫?」

本人「ダイジョウブ」

(例)質問者「あなたは本当にお金を盗んだの?」

本人「ヌスンダ」

「痛いところある?」のように質問すると、本人がそのまま繰り返しても、「はい」や「うん」といった肯定での返答をしても、支援の必要性がわかるようになります。

質問者の発する言葉に誘導されやすい人については

「○月△日×時の夕方何してた?」「どこにいた?」

「お店には何しに行ったの?」「その時、誰と一緒だった?」

のように具体的な状況を一つひとつ

本人から引き出して確認することも大事です。

同じことを聞いているのに相手によって話す内容が変わる

同じことを聞いているのに、相手の性別や年代、話しやすさ等によって態度を変え、全く異なる説明をする人がいます。

すぐに矛盾点を指摘すると態度を硬化させて何も言わなくなることがあります。

その場では話に耳を傾けておき、

①後で他の支援者や関係者と発言内容の擦り合わせをする、

②誰に対してどのようなことを言う傾向にあるのか、支援者間で情報共有することで、本当に言いたかったことや、実際に起こったことを推測しやすくなります。

特定の支援者には全く心を開かない、事実と異なる説明ばかり言う

支援者の対応に問題がなくても、支援者の背格好や年代が虐待をする家族に似ているという理由で怖がる人もいます。

自分のことを心配してくれる人に嫌われたくないという想いから、事実と異なる説明をすることもあります。

同じ人であればいつも同じ説明をする傾向にあるか、同じ人にも違う説明をすることがあるか、という点について支援者間で情報共有して確認することが大切です。

人を変えて話を聞くことで本心や事実を言いやすくなることがあります。

情報共有・話し合いをしている人たちの画像

口頭の説明では内容の理解が難しい人

説明のためのイラストが描かれている画像

言葉だけでは理解が難しい人には

  • ⚫︎実物を見せる

  • ⚫︎写真や動画を見せる

  • ⚫︎図やチャート表で示す

  • ⚫︎イラスト、絵カードを利用する

など、視覚支援を行うことで、話の内容がイメージしやすくなります。

説明の順番を示したチャート図の画像
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